自動車開発における空力とは

自動車の性能を高めるために、車の周りの空気の流れをうまく制御することが空力設計の目標の1つです。自動車の空力設計では、ボディ表面などに作用する力やモーメントを制御することで、燃費や走行安定性などに関わる車両の空力性能指標を向上させます。それだけではなく、部品の冷却やADAS ※1関係のカメラ・センサー類への泥等の付着回避など、複合的な設計要件がうまく調和して満たされるように空気の流れを制御することが大事だと考えています。

※1. ADAS:先進運転支援システムのこと。Advanced driver-assistance systemsの略称

電気自動車の空力開発とは

電気自動車の購入をお客様がご検討されるときには、コスト(車両価格)と航続距離のバランスの良い車を選択されることが多いのかなと思います。バッテリーのエネルギー密度はガソリンなどの液体燃料車に比べ、あまり高くないので、どうしても航続距離が短くなりがちというのがEVの一つの特徴といえます。もちろん、バッテリーを多く積めばよいですが、そうすると車両価格が高くなり、重量も重くなる弊害がどうしても生まれます。そこで、少ないエネルギーでなるべく長い距離を走れるように電費を向上させることが、商品性を高める意味で重要な目標になります。 このため、特に電気自動車については車両の空気抵抗低減に関する技術開発の重要性が増しています。

GLMの空力開発

風洞設備を使った空力開発は重要です。一方で、風洞試験を行うためには、どうしても実車もしくは模型を作らなくてはならず、その費用とリードタイムがかかるので、GLMでは、CFD※2というコンピューターを使った流体解析技術を重視して空力開発を行っています。新たに注目をしているのは、既存の空力シミュレーションではあまり行われていない領域の技術開発です。そうした新しい技術を自動車分野以外の企業も含めて、広く提供することが、新たなソリューションになると考えています。

※2. CFD:数値流体力学のこと。Computational Fluid Dynamics の略称

他分野に応用できるGLMの流体解析技術

例えば、家電や食品など自動車以外の分野においても、空気や水、油などの流体の運動と熱移動が関わるプロセスを設計的に改善したいと考えておられる企業はたくさんあります。そういった企業に対して、弊社のシミュレーション技術をサービスとして提供出来ればと考えています。


プロフィール

福井 淳一
1984年生まれ。奈良県出身。
学位(博士(工学))を取得し、日本学術振興会 特別研究員を経た後、 内資・外資系CAEベンダーにおいて流体解析や最適化業務に従事。 自動車、重工、家電、食品等の分野の数多くのエンジニアと交流し、 成長させていただいた。
GLMではトミーライラZZ Pikes Peakの空力設計やCAE設計手法開発を担当。趣味はバイクの分解整備。

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