ADAS

Q. なぜADAS シャシーを開発されたのでしょうか?

もともとトミーカイラZZ(※以下ZZ)というクルマをベースにプラットフォームビジネスの形でいろんなお客様にEVのシャシーを使っていただき、ショーカーや試験車両などに今まで、使っていただいたんですけれども、今後、自動運転の開発が進んできている中で、ZZのプラットフォームを使って自動運転の開発をしていただくことを考えた時に、ZZのステアリングは電動でなかったり、もともとブレーキにはブースターがついてなく、マニュアルのシステムだったので、電動で動かす機能がついていませんでした。そこで、これらを電動で動かせるようにできれば、自動運転の用途を想定したプラットフォームを作ることができ、自動運転開発をされている世の中のお客様に対して、GLMのEVプラットフォームビジネスを拡大していけるということを考えて開発をしました。

Q. ADAS シャシーの特徴を教えて下さい。

試験的にラジコンを操作するプロポというスティックで動かすもので、ラジコンを動かすように、実際にZZを動かすことができるようになっています。ステアリングの操作もすべて電動で動かせ、ブレーキもブレーキペダルに触れなくても、遠隔で制御して停まることができるようになっています。基本的に搭載されているモーターは元々のZZと同じモーターが搭載されているので、走ろうと思えばかなりの速度で走ることが可能です。ブレーキは、人が踏むよりも強い力で早く制動を立ち上げることもできますし、普通に人が運転することと同等の性能もできると思います。お客様が電気自動車を使って、いろんな評価をしたり、機能を検証したりということに使うことができるという形になっていると思います。

Q. ADAS シャシーを使ってどのような研究開発ができるのでしょうか?

例えば、自動運転のソフトを開発しているサプライヤー様で、その自動運転に向けたコンポーネントを開発しているお客様がいたとすると、1分の1のクルマに、実際に搭載して試験することができます。市販のメーカーのクルマに取り付けるということもできますが、それだとかなり改造をしなければいけないハードルの高さと、ベースの車が市販の車なのでメーカーが全ての情報を開示してもらえないので、完全にその車を把握した状態で試験をすることができない難しさがあります。
ZZの場合は、我々の開発車ですので素性が全てわかっている中で、制御の構造もわかってますし、車体の動力性能だとかいろんなリレーションの数値的なところも全部把握しているので、そういったところでお客様に情報を共有しながら正確な検証ですとかテストが提供できます。

Q. ADAS シャシー では、どのような開発が行われたのでしょうか?

ベース車のZZがとにかくシンプルな構成になっている車なので、最新のブレーキシステムやステアリングの電動システムを搭載する際に、制御系のネットワークを適合させることが難しい開発でした。新しい部品とベースのシンプルな構造を一つにまとめて、車としてちゃんと走行できるところが、技術的に難しい部分です。完成してみて、まとまった感じになりました。ADAS シャシー専用のコンピューターをまるごとひとつ開発して、全てを統合的に制御する構成になっています。そういった形で構成を完成させさせることができたので、1台の車としてしっかりまとまっていて、しっかり制御できるようになっています。

Q. ADAS シャシーの開発で困難だった点を教えてください。

ラジコンのプロポというのが、送信機と受信機と小さなアンテナが付いた受信機っていうものがあるんですけど、受信機側が受けてる信号を、ちゃんとECUで拾ってあげて値に変換してあげないといけないんですけど、その受信機側が出してる信号っていうのが、あまり情報がなくて、それを解析しながらやってたので、ラジコン化するっていう部分で難しいポイントでした。今回は、こういったプロポという形で外部の信号を受けて走りますという形でやっているんですけども、基本的にこの外部からの信号というのは何でもECUの開発で対応ができるようになっていますので、そこはいろんなお客様に応じて変えることができると思ってます。

Q. ADAS シャシー を最初に遠隔で動かす時の心境は?

かなり怖かったです。最初の頃は、アクセルの電圧の大きさでZZは動いてるんですけど、やっぱり、このレバーの動きに対して、どういう立ち上がり方にするかというのは非常に難しいポイントでした。すぐに動くところまでは出来たんですけど、人間の感覚でどのくらい動くかっていうチューニングに結構な時間をかけてやりました。
基本的にはデフォルトの状態でパワーを30%ぐらいに抑えています。60%ぐらいまでにすると、かなり速く走ってしまうので、広いとこでないと、もうちょっとレバーを倒しただけで、すごい速度で進んでしまうということが起きるので、基本的には安全を考えて、常に抑えてる状態なんですけど、空港や広い所であれば、全開で車本来の性能が出せるので、かなり楽しいです。

Q. ADAS シャシーの操作は難しいですか?

単純にラジコンの操作に慣れてないと、こっちに向かって来る時にステアリングの右左が逆になるのと、こっちに向かってバックさせてる時は、逆にどっちに行けばいいのかみたいになるんで、そういったラジコン操作の難しさみたいなものはあります。当然ですけど事故れないので、 最初の頃はかなり緊張しながら操作してました。今は、少し慣れました。

Q. ADAS シャシー はどのような企業さまの研究開発に役立ちますか?

自動運転のアルゴリズムや、ソフトウェアのシミュレーター開発など、いろんな研究をされている方々に適していると思います。コンピュータ上のシュミレーションで、いろんなアルゴリズムを検証することができるんですが、実車に載せて検証したり、テストすることは、なかなかハードルが高いと思います。そういった方々へADAS シャシーを実車という形で提供することを想定しています。それ以外にも、例えば、ライダーですとかカメラといったセンサー類を開発されているメーカー様にも実車を使って、検証やテストをするということが可能です。
やっぱり実際の車に載せないと分からないことや、実際の車に載せて試験をしてもらわないと、メーカーとしても得たい情報が得られないみたいな困りごとって結構あると思います。そういったところで、まず我々のADAS シャシーに載せてみませんか?と提案することができます。実際にセンサーを使ってADAS シャシーを走らせてみて初めて分かることをフィードバックしたり、試験をしながら、一つの試験結果として、大手メーカーさまにセールスに行くというようなビジネスが展開できるケースは結構あると思います。


プロフィール

山川 達也
1983年生まれ、長野県出身。
東プレ株式会社にて次世代冷凍車や空調技術の研究開発に携わり、3件の特許を出願。 その後、株式会社SUBARUにてプラグインハイブリッド車の空調システム開発に従事し、GLMへ入社。 EVスーパーカーの空調システム開発や電気電子システム開発を経験し EVプラットフォームを用いた受託プロジェクトではプロジェクトマネージャーとして 株式会社ユニバンス様の機電一体型eアクスルを前後に搭載した試験車両開発に参画。 2019年、株式会社ルートセブンオートモーティブ 代表取締役 兼 EEシステム開発のリードエンジニアとして ADAS向けEVプラットフォームや車両制御などにおけるECU開発を一貫して担当している。

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