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茶髪でセミロング、襟足長め、ファンキーなスニーカー、
一見チャラい異色の技術者は凄腕、EVスーパーカーの開発を統括
「いずれGLMも大きくなる。今後100年で、こんなオモロイ車づくりは今しかできん」
三菱電機、三菱重工を経てGLMへ、その軌跡を追う

GLM 第二開発部 部長 兼
EVシステム設計室 高田将史
(たかだまさし)
1979年生まれ、大阪府出身、東京理科大学 基礎工学部 電子応用学科卒
2014年8月GLM入社


気さくで、人当たりが柔らかで、よく笑う。社内でも、とにかくイイ人、と評判の方だ。
容姿はと言うと、小柄で華奢、セミロングで茶髪、襟足は長め、足元はファンキーでお洒落なミドルカットのスニーカー。はっきり言って、一見チャラい。おおよそ技術者とは思えない異色さだ。

でもこの人が凄い。いまGLMが開発中の次世代EVスーパーカーの開発責任者だ。
普段は優しく温厚だが、仕事モードのチャネルがある。取引先とのやりとりは厳しく熱を帯びるし、一緒に働きたい人材を尋ねると辛辣な言葉が返ってくる。仕事=車に対して心がホットなんだと思う。

山椒は小粒でもピリリリリッと辛い。あと、浪速愛が半端ない(笑)

(筆者:ライター タケ・バスコダ)

三菱電機から三菱重工へ

―三菱電機からキャリアをスタートされます(在籍4年)

「会社がEV部門を立ち上げて、しばらくした頃。大学のゼミで半導体をやっていたので、たまたまHEVをやることになった。担当は、IPU(インテリジェントパワーユニット)と呼ばれるインバータの心臓部であるパワーモジュールの設計。主に半導体素子のドライブ基板の設計をやってた」

―三菱重工へ進まれます(在籍7年)

「担当領域は、HEVやPHEVに搭載される車載用インバータのH/W設計。インバータ設計の取り纏め兼設計担当としてS/W設計以外の全ての設計(基板設計・構造設計等)をやりました」

―もともと車の部品開発がしたかった?

「車には携わりたかった。大学時代に中古でセリカを買ってから車に目覚めて、草レースなんかも出たりしてて。就職するときに何に興味があるか考えたら、やっぱり車やって」
「スポーツカーの開発がしたかったけど、それより関西(大阪)に帰りたくて(大学は千葉)。でもこっちには行きたいカーメーカーがない。それなら車載部品、ということで、姫路製作所のある三菱電機に」

「車が見えてこーへん」

―なぜ三菱電機から三菱重工に?
「正直、あんま面白くなかって、、、。メーカーの要求仕様に合わせてるだけ、というのに物足りんくなって。でもとっかかりの技術としては良かった」
「次を考えた時に、EVやHEVのインバータをやってるカーメーカーやティア1サプライヤーに行きたいと考えて。でも大阪は外せへん。調べると三菱重工は、神戸に拠点があった」

―インバータの開発はどうでしたか?

「やっぱ面白かった。当時、EVはまだまだこれから。あんまり、車も出てなかった。だからカーメーカーもEVを初めてつくる状況。そうなると自分たちでモーターやインバータは作れないから、我々にまわってくる。どういうスペックにすべきかなど相談がくる。車が少しは見えてくる」
「人もそんなに多くなかったから、電気モノ以外のメカモノも全て任せてくれた。自分の知らん世界がみえてきて、面白かった」

「GLMなんてやめなはれ」

―三菱重工を離れます

「会社側の事情で、EV部署が解散になって。で、次を考えたとき、これまでを振り返ると、インバータの中に入る半導体ユニットの設計(三菱電機)からインバータそのものの設計(三菱重工)へと、少しだけ車が見えるようになった。でも、こちらの裁量も結構あったとはいえ、結局のところは、カーメーカーからの要求仕様を満たす設計を行うのが基本。やはり、完成車の姿を見たいという想いは強かった」

―大手カーメーカーへの転職は考えなかった?

「完成車の姿を見たいからといって、カーメーカーを選んだとしても、結局は製品担当になるだけで、車を作るというよりは調整屋になる気がした。あと、EVやHEVをつくる大手カーメーカーは大阪にはない、、、。どうしようか考えあぐねて」

―また大阪愛が出てきましたね(笑)、GLMへはどういう経緯だったのですか?

「大阪ええやんか(笑)。GLMの前に、腕試しでインバータやモーターを扱う電気メーカーも受けた。給与面で折り合いがつかなかったりしたけど、転職活動は順調。大手にいて、しかも車載製品の設計というのは、自分で言うのもあれやけど、結構重宝がられる。でも各社、どうもピンとこない、ピンとこない、が続いてて」

「やっぱりカーメーカーしかないのか、と思ってたときに、人材紹介会社が出してくれた企業リストにGLMがあって。電気自動車を開発してて、しかも関西。面白そう。でもベンチャーかー、でもまあ、とりあえず受けてみるか、と」

―すぐに入社を決めました?

「いやいや、その前に、人材紹介会社に『これ受けます』っていったら、『やめなはれ、もっといいとこ行ける』って(笑)。まあでも、車づくり全般に携われそうやし、いいかなと」

―笑。ワンクッションあって、面接に進まれたんですね

「そう。面接でも面白くて。その場で中(GLM)の人から『覚悟はありますか?』と聞かれたんで、『逆にみなさん、どういう覚悟で入られたのですか?』と聞いたんですよ」

―そしたら?

「藤墳さん(技術本部長)が、『うちが、いつ潰れても、飯が食っていけるように、さぐりさぐりやっている』って(笑)」

―笑。それを聞いて、どう思われました?

「なるほど、いつ潰れるか分からんのか、と(笑)」
「でも、躊躇とか尻込みしたとかは全くなくって。車載のモーター、インバータをやってたから、業界も狭いので、まあ最悪、地域を選ばず関西を捨てれば、どうにかなるかなと、働き口はあるかなと」

―先ほど、転職活動中に待遇がネックになったと聞きましたが、GLMでは?

「ベンチャーだし、前社までは要求できんと思ってた。ただ結婚してたし、すでにマンションを買ってたからね(笑)。やりたいこと(GLMでの仕事)と生活のバランスが取れるところまで交渉しましたよ」

「俺がやらな、この会社つぶれる」

―GLMの車をご覧になられてどうでしたか?

「まじで?とっかん(突貫)?まだまだぐっちゃぐちゃ、リアフード開けたらむちゃくちゃ。こんなん量産したら、しばかれんで、と。これは俺がやらなあかんな、なんとかせんといかんな、ほっといたらこの会社つぶれるな、と。でも、これ全部いじれるなら、むちゃくちゃ楽しいだろうな、とも感じたよ」

―入社されてからの担当領域は?

「基本的にはパワトレ設計・電装設計全般を担当してる。GLMは当時、EVを開発する会社なのに電気系(の技術者)の社員が他にいない(笑)。入社するまでは電気系のゲストエンジニアの方がやっていた。それを全部引き継いだ」

―実務はどうだったんですか?

「まずは、全体を見直そうと。コンポーネントは使いつつ、回路やシステム、見栄えも大事、とにかく最初から、自分でいじってみた。なんとかサンプルを製作したけど、その後も、ぼろぼろ。不具合ぼこぼこ。その他細かなマイナートラブルもいっぱい。とにかく夜中までずっといじってた。でも不具合はそんな簡単に直らへん」

―完成したときは喜びもひとしおだったのでは?

「いや。やっとやな、という感じ。やっと外に出せるもんができたな、と。特に感動とかなく、それだけ」
「確かに車には触れたけど、車をつくりたいと思って入社してるわけ。入社時点ではZZ(トミーカイラZZ)の車体自体はあったしね。どっちかと言うと、(半完成車の)ブラッシュアップとかトラブルシューター的な感じやね」

次世代EVスーパーカーの開発責任者に、次元の異なるレベルに挑戦

―でも今はまさに、G4をゼロから開発しておられる、しかも開発責任者です

「いま、めっちゃ面白いよ。しんどさもいっぱいやけど」
「G4は、トミーカイラZZとは技術レベルの次元が違う。難しさは100倍どころじゃない。パリでどえらい発表(パリモーターショー2016でコンセプト車を世界ローンチ)して、次はこんな車をつくるってなってるのに、ZZと同じような仕様の車が出てきたらアカンでしょ。ZZとG4とでは、そもそも、目指す方向性が全く違う。車の走りが楽しめる原始的なんがZZ。G4は、カーメーカーとして、完成車として、究極を求めてる」

―そんなにも違います?

「ZZから流用できる部品は限られているし、システムももちろんイチから。『ゼロから車全てを作り上げる』それぐらいの気持ちでやってる。ZZを完成させた一番大きな利点は、サプライヤーさんとのパイプ。けれども、いまやろうとしていることを満たしてくれる物を求めると、『そんな部品は無い』となることも多々ある。ありものの部品を使ったZZに対して、G4はティア1サプライヤーさんらに、新たな仕様書を出してフルカスタム部品をつくってもらってる」

―全体統括をしながら技術者個人として開発しているのは?

「モーター、インバータをメーンにその他、電装品も全部見ている。EVは電気が関わってない部品がない。そこの上に責任者。なんで(まだまだ開発部隊が足りず)『人を採用します』と(笑)」

奥底で秘めた想いのある人にGLMへ来て欲しい

―どんな人に、GLMへきて欲しいですか?

「『僕これやってたんで、これしかできません』とか、そんな人間はいらない。いろんなことをやってた人がいい。でも組織に流されて、いろんなことをやってたんじゃ、あかん。そんな人はいらない。これもやりたい、あれもやりたい、奥底で秘めた想いのある、そんな人が欲しい。自分で何か進んでやれる人。言われないとやれない人は、ここでは難しい」

―GLMでは、どんな仕事の仕方になりますか?

「自分の場合は、仕事の仕方としては、最初に思い描く結果に対して実際に、どれだけ近づけることが出来るか、を常に考えながら設計してる。いい加減なことをすると必ず時間差でしっぺ返しをくらうので、その時の最大限の力でキッチリとやる、それを心がけてる」

―前職とは違いましたか?

「全く違う。新しくやってくる人も驚くと思う。前職ではそれなりに大きな仕事を任されていたけど、やっぱり、会社の看板やその時々の上司の隠れたサポートに、知らず知らずのうちに、かなり助けられていた。GLMの看板は無いに等しいし、一人一人がプロとして設計を進めなあかん。楽しい半面、自分のやることに対して責任やプレッシャーをかなり感じる」

今後100年で今しかできない車づくりが、今ここにある

―新しく来る方へ、メッセージはありますか?

「大変で面白い。ゼロから車に携われるなんて、今後100年で今しかない。GLMも会社が大きくなったら、今のようにはならんでしょ。こんなオモロイの、ほんま、今しかないんちゃうかな」

―開発陣の雰囲気ってどうです?

「社内政治とか、そんなんないし、やりやすいよ。入社してる人、してくる人、なぜか、みんな面白い人間ばっかりやし(笑)」

取材を終えて・・・

外見では想像がつかないほど、「人生設計」=「自動車技術者としてのキャリアアップ」に対してしっかりと向き合っている方だ。前会社の送別会で「東京モーターショーで車を出すから見とけよ」と言って辞めたらしい。おそらく、そうなる、そう確信してしまうぐらい、車づくりへの一直線な意志、強い想いを感じる。

高田さん、先日10年ぶりに、前の会社(三菱電機時代)の後輩に会ったそうだ。そして、開口一番、こう言われたそうだ。
「相変わらずチャラいですね」

変わらない、曲げない。筋が一本、通ってる人なんだと思う。

四つ葉経済記者会 ライター タケ・バスコダ

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